司法書士活動日誌 あいおいくんがゆく!
2020年02月07日 [福井 圭介の活動日誌]
【皆さんの疑問に答えます!】遺言08 「遺言の内容が不公平で納得ができない(1)」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
▷NO.3「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
▷NO.4「読めない遺言書は、どうすればいいいの?」
▷NO.5「複数の遺言書が出てきた」
▷NO.6「遺言に従わなければならないの?」
▷NO.7「財産目録に書かれた土地が存在しない」
今回は「遺言の内容が不公平で納得ができない(1)」についてです。
親などが死亡して本来は自分が相続人となるはず場合でも、遺言書が残されていると、相続できなくなってしまう可能性もあります。遺言書に「他の相続人や他人にすべての遺産を相続させる」とか「ほとんどの遺産を特定の他の相続人に相続させる」と書かれていたりすることもあるためです。こんな不公平で納得できない遺言書がある場合でも、その遺言書は有効になるのでしょうか?
◆不公平でも遺言書は有効
一部の相続人に多くの遺産を残し、他の相続人にはほとんど遺産を残さない。このような明らに不公平な遺言書も、実は有効なのです。遺産は被相続人の財産ですから、「自分の財産をどのように処分するか」はその人の自由だからです。「誰にどれだけの遺産を残すのか」ということも、自由に定めることができます。
相続人が複数いるときには、一部の相続人に全遺産やほとんどの遺産を残すこともできますし、相続人以外の第三者に遺産を分与することなども可能なのです。たとえば、父親が死亡して子どもたち3人が相続人となっているケース。「長男にすべての遺産を相続させる」という遺言も、「孫や愛人にすべての遺産を分与する」という遺言書も有効です。
◆遺留分について
しかし、このような不公平な遺言が残されていると、他の相続人としては到底納得できるものではありません。
そこで、民法上不公平を解消するために一定の範囲の法定相続人には「遺留分」が認められています。遺留分とは、「兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得分」のことです。たとえ遺言があったとしても、相続人の遺留分を侵害した部分について返還を求めることができます。遺留分を侵害する遺言がある場合には、相続人は遺留分侵害者に対し「遺留分減殺侵害額請求」をすることで、遺留分に相当する遺産を取り戻すことができます。
「遺留分が認められる相続人と遺留分の割合」「遺留分減殺侵害額請求」については、次回以降、ご説明します。
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
▷NO.3「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
▷NO.4「読めない遺言書は、どうすればいいいの?」
▷NO.5「複数の遺言書が出てきた」
▷NO.6「遺言に従わなければならないの?」
▷NO.7「財産目録に書かれた土地が存在しない」
今回は「遺言の内容が不公平で納得ができない(1)」についてです。
親などが死亡して本来は自分が相続人となるはず場合でも、遺言書が残されていると、相続できなくなってしまう可能性もあります。遺言書に「他の相続人や他人にすべての遺産を相続させる」とか「ほとんどの遺産を特定の他の相続人に相続させる」と書かれていたりすることもあるためです。こんな不公平で納得できない遺言書がある場合でも、その遺言書は有効になるのでしょうか?
◆不公平でも遺言書は有効
一部の相続人に多くの遺産を残し、他の相続人にはほとんど遺産を残さない。このような明らに不公平な遺言書も、実は有効なのです。遺産は被相続人の財産ですから、「自分の財産をどのように処分するか」はその人の自由だからです。「誰にどれだけの遺産を残すのか」ということも、自由に定めることができます。
相続人が複数いるときには、一部の相続人に全遺産やほとんどの遺産を残すこともできますし、相続人以外の第三者に遺産を分与することなども可能なのです。たとえば、父親が死亡して子どもたち3人が相続人となっているケース。「長男にすべての遺産を相続させる」という遺言も、「孫や愛人にすべての遺産を分与する」という遺言書も有効です。
◆遺留分について
しかし、このような不公平な遺言が残されていると、他の相続人としては到底納得できるものではありません。
そこで、民法上不公平を解消するために一定の範囲の法定相続人には「遺留分」が認められています。遺留分とは、「兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得分」のことです。たとえ遺言があったとしても、相続人の遺留分を侵害した部分について返還を求めることができます。遺留分を侵害する遺言がある場合には、相続人は遺留分侵害者に対し「遺留分減殺侵害額請求」をすることで、遺留分に相当する遺産を取り戻すことができます。
「遺留分が認められる相続人と遺留分の割合」「遺留分減殺侵害額請求」については、次回以降、ご説明します。