司法書士活動日誌 あいおいくんがゆく!
2020年03月02日 [福井 圭介の活動日誌]
【皆さんの疑問に答えます!】遺言09 「遺言の内容が不公平で納得ができない(2)」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
▷NO.3「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
▷NO.4「読めない遺言書は、どうすればいいいの?」
▷NO.5「複数の遺言書が出てきた」
▷NO.6「遺言に従わなければならないの?」
▷NO.7「財産目録に書かれた土地が存在しない」
NO.8「遺言の内容が不公平で納得ができない(1)」
今回は前回の内容に関連して、「遺留分が認められる相続人と遺留分の割合」「遺留分減殺侵害額請求」について詳しく、ご説明します。
♦遺留分が認められる相続人と遺留分の割合
@遺留分が認められる法定相続人
遺留分が認められる相続人は、以下のような法定相続人です。
●配偶者
●子ども、孫などの直系卑属
●親、祖父母などの直系尊属
これらの相続人に対して、兄弟姉妹には遺留分が認められません。
A遺留分の割合
遺留分が認められる場合の割合は以下のとおりです。
●直系尊属のみが法定相続人になる場合、3分の1
●それ以外の場合、2分の1
上記の割合に、それぞれの法定相続人の法定相続分を乗じた割合が個別の相続人の遺留分割合となります。たとえば、配偶者と子ども1人が相続人となる場合、全体的な遺留分は2分の1です。そして子どもの法定相続分は2分の1ですから、子どもの遺留分は「2分の1×2分の1=4分の1」となります。配偶者の遺留分も、「2分の1×2分の1=4分の1」です。
♦遺留分侵害額請求の方法
相続人が遺留分を侵害されている場合、令和の民法改正前までは「遺留分減殺(げんさい)請求」という権利を行使することで侵害された部分を取り戻すことが認められていましたが、民法改正でこの請求権の呼び方が「遺留分侵害額請求」と改められました。
遺留分減殺請求権は不動産にも行使することが出来き、侵害された相続人が不動産を取り戻すこともできたのに対して、民法改正により、遺留分侵害額請求は金銭による解決のみが認められることになりました。
そして、遺留分侵害額請求をするときには、必ず「内容証明郵便」を使用することが必要です。
内容証明郵便とは郵便局と差出人の手元に同文書の控えが残るタイプの郵便。郵便局が内容を証明してくれるので、後になっても証拠として使えるものです。遺留分侵害額請求権には時効があって、その時効が完成する前に「確実に相手に請求したこと」を証明するため、内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送る必要があるからです。
遺留分侵害額請求権の時効は「相続開始」と「遺留分を侵害する遺言や遺贈があったこと」を知ってから1年以内です。つまり被相続人の死後遺言書の存在を知ってから1年が経過すると、もはや遺留分侵害額請求はできなくなり遺留分を取り戻すことは不可能になってしまいます。そこで、不公平な内容の遺言書があることが発覚し、自分の権利が侵害されていると分かったら、早急に遺留分侵害額請求を行い、権利を保全する必要があります。
遺留分侵害額請求通知を送ったら、その後は遺留分の侵害者との話し合いを進めて具体的な遺留分の返還額を決めなければなりません。このとき、もらった方は返したくないと思うのが通常でしょう。
一般的に遺留分侵害額請求が起こる相続は、そもそも相続人間で揉めていたり、また、「どのくらいの額が侵害しているのか」を証明するのは簡単ではないため、多くは裁判事件に発展する可能性をはらんでいます。
実のところ、司法書士もこの遺留分侵害額請求に関する事件を取り扱うことはなく、弁護士による代理での手続きで行うことがほとんどです。
なお、当事務所では多くの弁護士とも連携しておりますので、遺留分侵害額請求の事案でご相談いただきその後弁護士をご紹介することも可能です。
お気軽にご相談いただければと存じます。
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
▷NO.3「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
▷NO.4「読めない遺言書は、どうすればいいいの?」
▷NO.5「複数の遺言書が出てきた」
▷NO.6「遺言に従わなければならないの?」
▷NO.7「財産目録に書かれた土地が存在しない」
NO.8「遺言の内容が不公平で納得ができない(1)」
今回は前回の内容に関連して、「遺留分が認められる相続人と遺留分の割合」「遺留分減殺侵害額請求」について詳しく、ご説明します。
♦遺留分が認められる相続人と遺留分の割合
@遺留分が認められる法定相続人
遺留分が認められる相続人は、以下のような法定相続人です。
●配偶者
●子ども、孫などの直系卑属
●親、祖父母などの直系尊属
これらの相続人に対して、兄弟姉妹には遺留分が認められません。
A遺留分の割合
遺留分が認められる場合の割合は以下のとおりです。
●直系尊属のみが法定相続人になる場合、3分の1
●それ以外の場合、2分の1
上記の割合に、それぞれの法定相続人の法定相続分を乗じた割合が個別の相続人の遺留分割合となります。たとえば、配偶者と子ども1人が相続人となる場合、全体的な遺留分は2分の1です。そして子どもの法定相続分は2分の1ですから、子どもの遺留分は「2分の1×2分の1=4分の1」となります。配偶者の遺留分も、「2分の1×2分の1=4分の1」です。
♦遺留分侵害額請求の方法
相続人が遺留分を侵害されている場合、令和の民法改正前までは「遺留分減殺(げんさい)請求」という権利を行使することで侵害された部分を取り戻すことが認められていましたが、民法改正でこの請求権の呼び方が「遺留分侵害額請求」と改められました。
遺留分減殺請求権は不動産にも行使することが出来き、侵害された相続人が不動産を取り戻すこともできたのに対して、民法改正により、遺留分侵害額請求は金銭による解決のみが認められることになりました。
そして、遺留分侵害額請求をするときには、必ず「内容証明郵便」を使用することが必要です。
内容証明郵便とは郵便局と差出人の手元に同文書の控えが残るタイプの郵便。郵便局が内容を証明してくれるので、後になっても証拠として使えるものです。遺留分侵害額請求権には時効があって、その時効が完成する前に「確実に相手に請求したこと」を証明するため、内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送る必要があるからです。
遺留分侵害額請求権の時効は「相続開始」と「遺留分を侵害する遺言や遺贈があったこと」を知ってから1年以内です。つまり被相続人の死後遺言書の存在を知ってから1年が経過すると、もはや遺留分侵害額請求はできなくなり遺留分を取り戻すことは不可能になってしまいます。そこで、不公平な内容の遺言書があることが発覚し、自分の権利が侵害されていると分かったら、早急に遺留分侵害額請求を行い、権利を保全する必要があります。
遺留分侵害額請求通知を送ったら、その後は遺留分の侵害者との話し合いを進めて具体的な遺留分の返還額を決めなければなりません。このとき、もらった方は返したくないと思うのが通常でしょう。
一般的に遺留分侵害額請求が起こる相続は、そもそも相続人間で揉めていたり、また、「どのくらいの額が侵害しているのか」を証明するのは簡単ではないため、多くは裁判事件に発展する可能性をはらんでいます。
実のところ、司法書士もこの遺留分侵害額請求に関する事件を取り扱うことはなく、弁護士による代理での手続きで行うことがほとんどです。
なお、当事務所では多くの弁護士とも連携しておりますので、遺留分侵害額請求の事案でご相談いただきその後弁護士をご紹介することも可能です。
お気軽にご相談いただければと存じます。