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司法書士活動日誌 あいおいくんがゆく!

2020年08月03日 [清水 敏博の活動日誌]

こころに晴れ間を くらしに活力を  相続 編 vol.3「遺産分割協議は進め方が大事!」

みなさま こんにちは! 司法書士の清水です。
 当事務所は、2001年に事務所を開業してから20年に渡り、年間800件以上のくらしにまつわる様々な法律相談を受けてまいりました。このブログは、これまでの20年間の実際の経験にもとづき、みなさまのより良いくらしにお役立ていただくためのブログです。
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当事務所では相続に関係する様々なケースのご相談をお受けしてます。
最近のご相談の中には、下記のようなご相談がありました。

@生前の財産管理はすべて夫がしていたので、どうやって財産調査をすればよいのか分からない
Aそもそもどの順番で手続きをすればよいのか分からない
B相続財産のうち、県外に不動産を所有しているが、どうしたらよいか分からない
C子供に手伝ってもらいたいが、忙しそうなので頼めないで困っている
D第3順位相続(第1順位の子、第2順位の父母がいない)で甥姪を含め相続人が多数いて話し合いが難しい
E相続人間で話し合いをしてみたものの、話し合いがうまく進まない
F相続人である弟妹とこれまであまり連絡を取っておらず、どうやって話し合いを進めたらよいか分からない
G戸籍を調べてみたら、自分の知らない父の前妻の子がいたことが発覚し、どうすればよいか分からない

ご相談の背景には、権利意識の高まり、核家族化の進展、家族観の変化、日頃のコミュニケーション不足、インターネットの発展による情報氾濫、各機関による手続きの厳格化など様々な要因が影響しかつ複雑に絡み合っているように思います。

今回は当事務所で寄せられる数あるご相談の中で、「遺産分割協議の上手な進め方」についてお話ししたいと思います。
総じて言いますと、@相続がはじまると、これまでの家族関係の積み重ねが良くも悪くも一気に顕在化します。
また、A近しい親族であるが故に互いの感情が表に出てきやすいといった傾向がありますので、その2点を十分に留意しながら進めることが肝要です。

この点を留意せずに遺産分割の話し合いを進めたがために、相続人間で思いもよらないトラブルになってしまうことがあります。
もし、相続人間で一度トラブルが生じると、当事者間での話し合いが困難になり家庭裁判所の調停手続きが必要となったり、そこまではいかなくとも相続人間でぎくしゃくし、相続後はまったく疎遠になってしまうこともあります。
できればそういったことは避けたいですよね。
 
<遺産分割協議の上手な進め方>
 
1.相続人及び相続財産の事前調査をしっかりと行うこと
  
相続が開始したら、まずやるべきことは被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍を収集して相続人及び相続財産をしっかりと調査すること(例えば、自宅に保管された書類や郵送物、不動産であれば権利証や役所で土地家屋総合名寄帳を取り寄せる、預金であれば残高証明書や照会を掛ける など)が大切です。
実際に当事務所で戸籍等を収集し相続人を調査したところ、相続人が会ったこともない父の前妻の子がいたり、養子縁組や認知した子が見つかったといったこともあります。

次に、相続財産をしっかりと調査してから遺産分割の話し合いをすることも大切です。万一、後日財産が発見されると、もう一度遺産分割の話し合いが必要となることがあります。また、意図して他の相続人に一部の財産を伝えないで進めようとする方がいますが、そうすることで他の相続人が不信感を抱き(ある程度他の相続人も財産状況を把握しているので、別の財産があったはずと疑われることが多い)、話し合いの基礎となる信頼が根底から崩れかねません。しかも、一度信頼関係が崩れてしまうと、取り戻すのは容易ではありませんので、くれぐれもご注意してください。

面倒な相続手続きは早く終わらせたい気持ちはよく分かりますが、遺産分割の話し合いの前提となる相続人及び相続財産をおろそかにすることでかえって負担や時間が増すことがありますので、しっかりと事前調査を行ってから遺産分割の話し合いに臨むことが大切です。

2.遺産分割の話し合いの際には、生前における被相続人と他の相続人とのかかわり方(例えば、被相続人をずっと介護や面倒を看てきた など)、相続人間での境遇の違い(例えば、兄弟間における受けた教育の格差 など)、現在の他の相続人の置かれている環境等に配慮したうえで話し合いに入ること
  
 相続という場面では、これまでの家族関係の積み重ねが良くも悪くも一気に顕在化します。
最近のトラブルケースとして増えている介護をした相続人としていない相続人がいる場合には、協議に入る前に介護をした相続人にちょっとしたねぎらいの言葉を一言かけてから話し合いに入ったり、若しくは介護の苦労をおもんぱかり遺産分割の際に少し考慮してあげると(例えば、少し金額を上乗せしてあげる など)、相手の感情の高まりや不公平感が抑えられ、とてもスムーズに話し合いを進めることができます。

また、他の相続人が現在置かれている状況(既婚・未婚、家庭環境、生活状況など)によっても考えや気持ちは変化するので、その点をまったく顧みずに従来と同じような対応(例えば、実家に兄弟で同居していた頃のイメーだけで話し合いをはじめる など)で進めるとトラブルになりますいので注意が必要です。
   
 3.他の相続人に対し丁寧に事情を説明したり、途中経過をこまめに連絡・報告するなどコミュニケーションを心がけること

 遺産分割の話し合いには法律はもとより互いの信頼関係がとても大切です(例えば 法律上は正しくても感情的に受け入れられずトラブルになるケースが散見されます。)。親族という近しい間柄ゆえに、どうしても説明を省略して他の相続人の意見も聞かずに勝手に動いてしまったり、面倒がって連絡や報告をしない方がいますが、信頼関係が脆弱な中では、ちょっとしたことで信頼が損なわれトラブルに発展することがあります。近しい間柄だからこそ、普段より丁寧に対応したり、気を配ることが大切です。

今回は、今までの実際の相談をもとに「遺産分割協議の上手な進め方」についてお話ししました。ぜひみなさまのご参考にしてください。

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