くらしの法律情報
2022年09月01日 [くらしの法律情報]
自宅の所有権、把握してますか?
本ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
ふだんはあまり問題にならないご自宅の所有権。でも所有権の有無が問題になってしまう場面がでてきます。
本コラムでは「所有権を把握しにくい物件とは?」「所有権の把握方法は?」「所有権の有無が問題になるケースは?」について詳しくご説明いたします。
不動産を所有している場合、当然、自宅に登記名義があり、毎年、固定資産税・都市計画税を納めているので所有権を持っている、と意識することができます。
ただし、一戸建て、マンションそれぞれ所有権を把握しにくい場合があります。
一戸建ての場合
自宅の敷地のほかに、例えば前面道路の持分や前面道路に接する自宅敷地の一部(いわゆるセットバック部分)が自宅の土地とは切り分けられている土地もあわせて所有しているケースがあります。
中には分譲住宅で道路持分の対象となる土地が複数、多い場合5〜10筆もある場合があり、各土地を正確に把握することが難しくなっているケースもあります。
また、これらの私道は通常、公衆用道路として固定資産税・都市計画税が非課税となっているため、例えば横浜市内の不動産ですと、毎年送られてくる課税明細書には私道の記載がないため、具体的にどの土地に自分の私道持分があるのかを把握できていない方も多くいらっしゃいます。
マンションの場合
特に昭和40年代から平成初頭に建てられたマンションの中に、集会所などの共用建物についてマンションの全所有者で持分を共有しているケースがあります。この共有持分は固定資産評価額としては非常に低額となるため、固定資産税・都市計画税が課税されないことがほとんどであるため、同様に横浜市内のマンションの共用持分については、課税明細書に記載がないため、共有持分の所有を意識しにくくなっています。
自分が所有権をもっているのはどの不動産かを把握するためにもっとも手っ取り早い方法が、「購入時の売買契約書」や「権利証」を確認することです。これらには所有権を有するすべての不動産が記載されています。なお、平成17年の新しい不動産登記法施行後であれば、「権利証」という名称ではなく「登記識別情報」という名称で、不動産の所有権を表す重要書類として法務局から発行されています。
その他の方法として、自宅を購入する際に住宅ローンを組んでいた場合、融資をした金融機関は住宅ローンの担保としてすべての購入物件に抵当権を設定するのが通常ですので、法務局で自宅の登記簿謄本(全部事項証明書)を「共同担保目録付き」で取得すると、例えば戸建て住宅であれば、自宅の敷地と建物のほかに私道持分があれば、この「共同担保目録」に所有権を持っている私道が一覧で表示されるので、これによって確認することができます。
普段の生活において、上記のような持分所有をしている不動産の有無を把握していなかったとしても全く支障はありません。
しかし、いざ、自分の所有権を移転する局面においては、もれなくすべての所有権を承継させる必要があります。
所有権移転というと代表的なものは、「売買」、「贈与」そして「相続」が挙げられます。
売買と贈与は所有権を手放す人が上記のとおり購入時の契約書や権利証を持っていれば、所有不動産を確認することができ、特に売買においては不動産仲介業者が携わることがほとんどですので、もれなく所有権を承継させることができるでしょう。
問題となりやすいのは、相続
権利証があればその確認で、ない場合でも登記簿謄本(全部事項証明書)に共同担保目録の記載があれば、それで亡くなられた方の所有権の範囲が確認できるのですが、権利証もなく、共同担保目録もない(住宅ローンを借りていなかった)場合には、相続人が詳しく相続対象不動産を把握することはより一層難しくなってしまします。
われわれ司法書士は、相続における所有不動産の承継漏れが起きないよう、入念に不動産記録を調査しますので、相続の際にちゃんと不動産を承継できているか不安な方は、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
ふだんはあまり問題にならないご自宅の所有権。でも所有権の有無が問題になってしまう場面がでてきます。
本コラムでは「所有権を把握しにくい物件とは?」「所有権の把握方法は?」「所有権の有無が問題になるケースは?」について詳しくご説明いたします。
所有権を把握しにくい不動産とは?
不動産を所有している場合、当然、自宅に登記名義があり、毎年、固定資産税・都市計画税を納めているので所有権を持っている、と意識することができます。
ただし、一戸建て、マンションそれぞれ所有権を把握しにくい場合があります。
一戸建ての場合
自宅の敷地のほかに、例えば前面道路の持分や前面道路に接する自宅敷地の一部(いわゆるセットバック部分)が自宅の土地とは切り分けられている土地もあわせて所有しているケースがあります。
中には分譲住宅で道路持分の対象となる土地が複数、多い場合5〜10筆もある場合があり、各土地を正確に把握することが難しくなっているケースもあります。
また、これらの私道は通常、公衆用道路として固定資産税・都市計画税が非課税となっているため、例えば横浜市内の不動産ですと、毎年送られてくる課税明細書には私道の記載がないため、具体的にどの土地に自分の私道持分があるのかを把握できていない方も多くいらっしゃいます。
マンションの場合
特に昭和40年代から平成初頭に建てられたマンションの中に、集会所などの共用建物についてマンションの全所有者で持分を共有しているケースがあります。この共有持分は固定資産評価額としては非常に低額となるため、固定資産税・都市計画税が課税されないことがほとんどであるため、同様に横浜市内のマンションの共用持分については、課税明細書に記載がないため、共有持分の所有を意識しにくくなっています。
どのように所有権の有無を把握するか?
自分が所有権をもっているのはどの不動産かを把握するためにもっとも手っ取り早い方法が、「購入時の売買契約書」や「権利証」を確認することです。これらには所有権を有するすべての不動産が記載されています。なお、平成17年の新しい不動産登記法施行後であれば、「権利証」という名称ではなく「登記識別情報」という名称で、不動産の所有権を表す重要書類として法務局から発行されています。
その他の方法として、自宅を購入する際に住宅ローンを組んでいた場合、融資をした金融機関は住宅ローンの担保としてすべての購入物件に抵当権を設定するのが通常ですので、法務局で自宅の登記簿謄本(全部事項証明書)を「共同担保目録付き」で取得すると、例えば戸建て住宅であれば、自宅の敷地と建物のほかに私道持分があれば、この「共同担保目録」に所有権を持っている私道が一覧で表示されるので、これによって確認することができます。
所有権の有無が問題になるケース
普段の生活において、上記のような持分所有をしている不動産の有無を把握していなかったとしても全く支障はありません。
しかし、いざ、自分の所有権を移転する局面においては、もれなくすべての所有権を承継させる必要があります。
所有権移転というと代表的なものは、「売買」、「贈与」そして「相続」が挙げられます。
売買と贈与は所有権を手放す人が上記のとおり購入時の契約書や権利証を持っていれば、所有不動産を確認することができ、特に売買においては不動産仲介業者が携わることがほとんどですので、もれなく所有権を承継させることができるでしょう。
問題となりやすいのは、相続
権利証があればその確認で、ない場合でも登記簿謄本(全部事項証明書)に共同担保目録の記載があれば、それで亡くなられた方の所有権の範囲が確認できるのですが、権利証もなく、共同担保目録もない(住宅ローンを借りていなかった)場合には、相続人が詳しく相続対象不動産を把握することはより一層難しくなってしまします。
われわれ司法書士は、相続における所有不動産の承継漏れが起きないよう、入念に不動産記録を調査しますので、相続の際にちゃんと不動産を承継できているか不安な方は、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。