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くらしの法律情報
2023年03月01日 [くらしの法律情報]

4月から簡易化される「遺贈による所有権移転登記手続」

本ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
来年の4月から相続登記が義務化され、さらにその2年後には住所変更登記も義務化されていくという流れは、これまでの登記制度では正確な所有者を把握できないままでいたという事実を解消し、不動産の取引や国土計画実施を円滑化するという国家的な制度改革といえます。
そして、その派生的な登記制度の変更が法改正で定められ、実はこの4月から施行させるものがあります。
施行まで1か月を切った「遺贈による所有権移転登記手続きの簡略化」について本コラムでご説明します。



遺贈とは、遺言による贈与、つまり遺言者が遺言の中で「Aに甲不動産を遺贈する」とした場合、受遺者であるAは遺贈により甲不動産取得することになります。
このときの登記手続きは、登記原因が遺言者の亡くなった日付での「遺贈」となり、Aは登記権利者として所有権移転登記を受けることができるのですが、現行法では、「遺贈」の登記は、権利を取得する登記権利者と権利を渡す登記義務者の双方が登記申請に関与する「共同申請」によらなければならないことになっています。
遺贈によって権利を渡す側は遺言者ですが、現実的には亡くなっているため、登記義務者としては遺言者の相続人全員が該当するということになります。



遺言者が遺言の中で「遺言執行者」を定めておけば、遺言執行者が相続人全員に代わって登記義務者となることができますが、遺言執行者が定められていない場合には、遺言者の相続人全員が登記義務者として登記手続きに関与しなければならなくなります。
実際の登記手続きでは、登記義務者は登記申請書又は登記委任状に実印の押印と印鑑証明書の提出が必要となります。
相続人が多数に上る場合にはその全員からその協力を得る必要があり、遠隔地に住んでいる場合などは時間がかかったり、非協力的な相続人がいる場合には、裁判手続きによらなければならないなど、遺贈で不動産を取得することとなった場合の登記手続きにおける登記権利者である受遺者の負担がとても重くなる可能性があり、それにより円滑な不動産承継ができない、ということが指摘されていました。




先に説明した共同申請の原則を変更し、簡易化する手続きとして、遺贈による所有権移転登記において登記権利者である受遺者による「単独」での登記手続きが、この4月よりすることができるようになります。

ただし、この受遺者である登記権利者は遺言者の相続人であることが必要です。
例えば、遺言者が法定相続人でない孫に対して不動産を遺贈する場合は、現行法と同様に遺言執行者がいない場合は、相続人全員を登記義務者としなければなりません。


ちなみに、われわれ司法書士が遺言書の作成段階でご相談を承る場合には、ほとんどのケースで遺言執行者を定めておくようにお勧めをしております。
法定相続人全員を関与させることになっては遺言書のメリットがなくなってしまうためです。
おそらく、法律の専門化が関与している遺言書では、遺言執行者を定めたうえでの遺贈する、という内容となっていることが多いと考えられます。


遺言で法定相続人に対して財産を承継させようとする場合には多くは「相続させる」という表現を用い、この場合には登記原因も「相続」となるため、もともと財産をもらう相続人が単独で登記申請をすることができることになっています。
あえて相続人に対して「遺贈」をするという表現を用いた遺言自体があまり存在しないのではないかとも思われ、この簡略化による新しい制度は、実際のところそれほど多くの事例が該当するということにはならないのではないかとも推測されますが、相続登記を推進しようとする国の本気の姿勢を垣間見ることができる改正であると、実感するところではあります。

相続登記の義務化に伴い様々な制度が開始されます。最近はインターネットなどで情報を調べられたものの、情報量が多すぎて、かえってご不安になられている方も見受けられます。おひとりで調べたり悩まれたりすることでご負担がかかっては大変ですので、お気軽にご相談ください。





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