くらしの法律情報
2023年05月09日 [くらしの法律情報]
法定相続情報証明制度について
ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
本ブログでは、これまで相続登記義務化など新しい制度についてご案内をしてまいりました。
国による相続登記推進に向けた制度設計の流れを振り返ってみますと、その一番手といえるのが「法定相続情報証明制度」といえるでしょう。
亡くなられた方(被相続人)の法定相続人を法務局が証明するという制度で、今から6年前の平成29年5月から運用が開始されました。
被相続人の死亡の記載のある除籍謄本から出生の記録のある古い除籍や原戸籍等の一連の戸籍記録を相続関係図と申出書ともに管轄の法務局へ提出し、法務局の審査を経て法定相続情報一覧図というA4一枚の証明書が発行されます。
これまでは、各相続手続きにおいて、被相続人に関する戸籍謄本類の一式の束で法定相続人を確認しなければならなかったところ、法務局が被相続人の法定相続人が誰であるかを1枚の用紙で証明してくれる、というとても簡潔でわかりやすい証明制度です。
制度開始直後は、この法定相続情報一覧図の取り扱いが各機関でまちまち、つまり使用不可とするところもあったのですが、現在においてはほぼ、全ての機関における相続手続きや相続関係の書類として戸籍謄本類の一式の束に代わるものとして認められており、円滑な相続手続きに一役買っている、といえるでしょう。
この法定相続情報は、われわれ司法書士が申出書の作成から取得までを代理で行うことができ、また、法務局が相続登記申請の際にあわせて法定相続情報一覧図を発行するという運用もされているため、司法書士にとてもなじんだ証明書になりつつあります。
実際に相続が開始した際に、相続人の方がご自身でこの法定相続情報一覧図を法務局で取得される、というケースも増えつつあり、個人の方にもだいぶ制度が認知されてきているようです。
前述のとおり、金融機関での預金の相続手続きにおいては、従前の戸籍謄本類の束を提出していた頃に比べると、戸籍謄本類の束の読み込みという金融機関側の作業がなくなるというのは大幅な事務処理の効率化が図れていると言えるでしょう。
ある税理士さんからの情報によると、相続税申告において、税務署側も法定相続情報一覧図を提出することを推奨しているようです。
ところが、不思議なことに、法務局と同じ法務省が管轄する機関である裁判所については、一部の裁判所で法定相続情報一覧図を戸籍謄本類の束の代わりに提出することを認めていない、という運用をしているところもあるようです。
これには、私が懇意にしている弁護士さんも憤りを感じているようです。
今後、相続登記推進がますます叫ばれていく中で、この裁判所の取り扱いは是非とも改善してもらいたいと思います。
いずれにしましても、この法定相続情報一覧図は相続登記推進の旗振り役的な制度として定着してきていますので、今後も当事務所における相続手続きでも積極的に活用して、相続登記推進に寄与してまいりたいと思います。
(画像は法務省HPより転載)
本ブログでは、これまで相続登記義務化など新しい制度についてご案内をしてまいりました。
国による相続登記推進に向けた制度設計の流れを振り返ってみますと、その一番手といえるのが「法定相続情報証明制度」といえるでしょう。
法定相続情報証明制度とは
亡くなられた方(被相続人)の法定相続人を法務局が証明するという制度で、今から6年前の平成29年5月から運用が開始されました。
被相続人の死亡の記載のある除籍謄本から出生の記録のある古い除籍や原戸籍等の一連の戸籍記録を相続関係図と申出書ともに管轄の法務局へ提出し、法務局の審査を経て法定相続情報一覧図というA4一枚の証明書が発行されます。
制度ができて何が変わったの?
これまでは、各相続手続きにおいて、被相続人に関する戸籍謄本類の一式の束で法定相続人を確認しなければならなかったところ、法務局が被相続人の法定相続人が誰であるかを1枚の用紙で証明してくれる、というとても簡潔でわかりやすい証明制度です。
制度開始直後は、この法定相続情報一覧図の取り扱いが各機関でまちまち、つまり使用不可とするところもあったのですが、現在においてはほぼ、全ての機関における相続手続きや相続関係の書類として戸籍謄本類の一式の束に代わるものとして認められており、円滑な相続手続きに一役買っている、といえるでしょう。
一般の人も申請できるの?
この法定相続情報は、われわれ司法書士が申出書の作成から取得までを代理で行うことができ、また、法務局が相続登記申請の際にあわせて法定相続情報一覧図を発行するという運用もされているため、司法書士にとてもなじんだ証明書になりつつあります。
実際に相続が開始した際に、相続人の方がご自身でこの法定相続情報一覧図を法務局で取得される、というケースも増えつつあり、個人の方にもだいぶ制度が認知されてきているようです。
残された課題は?
前述のとおり、金融機関での預金の相続手続きにおいては、従前の戸籍謄本類の束を提出していた頃に比べると、戸籍謄本類の束の読み込みという金融機関側の作業がなくなるというのは大幅な事務処理の効率化が図れていると言えるでしょう。
ある税理士さんからの情報によると、相続税申告において、税務署側も法定相続情報一覧図を提出することを推奨しているようです。
ところが、不思議なことに、法務局と同じ法務省が管轄する機関である裁判所については、一部の裁判所で法定相続情報一覧図を戸籍謄本類の束の代わりに提出することを認めていない、という運用をしているところもあるようです。
これには、私が懇意にしている弁護士さんも憤りを感じているようです。
今後、相続登記推進がますます叫ばれていく中で、この裁判所の取り扱いは是非とも改善してもらいたいと思います。
いずれにしましても、この法定相続情報一覧図は相続登記推進の旗振り役的な制度として定着してきていますので、今後も当事務所における相続手続きでも積極的に活用して、相続登記推進に寄与してまいりたいと思います。
(画像は法務省HPより転載)