くらしの法律情報
2022年12月07日 [くらしの法律情報]
遺産の分け方について
本ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
当事務所で取り扱う業務内容で最も多いのが相続に関するものです。
その中でも遺産の分け方について、どうしたらよいか、というご相談も多くお寄せいただいております。
そこで、遺産の分け方である「遺産分割」について簡単にまとめてみたいと思います。
相続が発生し、被相続人に遺産がある場合、その遺産の帰属方法を決める最優先となる物証が「遺言」です。
被相続人が遺言書を遺し、その中で自身の遺産をどう分けるかを決めていれば、それが法律上最優先されることになります。
近年、権利意識の高まりもあり、自身の築いた財産の行く末は自分で決めたい、という考えが広まり、遺言書を遺される方が増えていますが、まさに、その意思が法律上保護されることになります。
遺言がなかった場合には、残された相続人同士での話し合い、いわゆる「遺産分割協議」で帰属先を決めることになります。
この遺産分割協議で相続人の全員が遺産をどう分けるかについて揉めることなく円滑に決定できることが望ましいと法律も想定しています。
この遺産分割協議がうまくまとまらなかった場合には、「協議」に代わって、家庭裁判所において「調停」または「審判」によって遺産の分け方を決定することになります。
家庭裁判所における手続きでは、原則として「法定相続分」が考慮されるため、法律が定めた遺産の分け方の割合を基準として財産の分け方を決定していきます。
「法定相続分」はあくまでも相続人による話し合いで遺産分割がまとまらなかったときに家庭裁判所で適用する遺産の分け方の基準のようなものです。
したがって、話し合いがまとまるような円満な相続関係であれば、法定相続分に従わなくても生前の故人との関係や、故人の意向などに沿って、どのような割合でも遺産分割をすることができます。
例えば、相続人が配偶者と子の3人の場合であって、最も故人と近しく面倒などを見ていたということで3人のうち一人の子に全ての財産を取得させるような遺産分割協議を成立させることも可能です。
相続税の問題です。相続税は遺産を承継した人に対して課税をされますので、前記の例で全ての財産を一人の子が相続をした場合には、その子が相続した財産に応じた相続税を負担することになります。相続税の計算は、具体的には税理士を交えたシミュレーションにより行いますが、話し合いでまとまるような場合には、最も節税効果のある遺産分割方法をとることが望ましいと言えるでしょう。
なお、相続税が非課税となる相続、つまり遺産の総額が基礎控除である3000万円+相続人の数×600万円(令和4年現在)を超えない場合には、どのような内容で遺産分割をしても相続税負担はないため、特定の相続人に財産を取得させてもよいのですが、例えば、夫が亡くなって配偶者と子ども三人のケースで、遺産総額が基礎控除(この場合は5400万円)を超えない5000万円であったとして、全ての財産を配偶者に取得させる遺産分割をした場合、相続税はかかりませんが、このとき5000万円の遺産が配偶者の固有の財産に加算されることになります。
そして、次いでこの配偶者が亡くなった時には、基礎控除が4800万円ですので、単純計算で相続税が課されることになってしまうため、一次相続である夫の相続の時点で、二次相続となる可能性が高い配偶者の相続についてまで想定をした遺産分割をすることが望ましいと言えます。
この場合には、やはり司法書士の見解だけで判断することはできないので、税理士を交えたシミュレーションが必須となります。
当事務所では、連携している税理士さんに実際にシミュレーションをしてもらいながら遺産分割のアドバイスを行っておりますので、「どう分けたらいいかわからない」といった場合もどうぞお気軽にご相談ください。
当事務所で取り扱う業務内容で最も多いのが相続に関するものです。
その中でも遺産の分け方について、どうしたらよいか、というご相談も多くお寄せいただいております。
そこで、遺産の分け方である「遺産分割」について簡単にまとめてみたいと思います。
相続発生後にまず確認することは?
相続が発生し、被相続人に遺産がある場合、その遺産の帰属方法を決める最優先となる物証が「遺言」です。
被相続人が遺言書を遺し、その中で自身の遺産をどう分けるかを決めていれば、それが法律上最優先されることになります。
近年、権利意識の高まりもあり、自身の築いた財産の行く末は自分で決めたい、という考えが広まり、遺言書を遺される方が増えていますが、まさに、その意思が法律上保護されることになります。
遺言がなかった場合に行うことは?
遺言がなかった場合には、残された相続人同士での話し合い、いわゆる「遺産分割協議」で帰属先を決めることになります。
この遺産分割協議で相続人の全員が遺産をどう分けるかについて揉めることなく円滑に決定できることが望ましいと法律も想定しています。
遺産分割協議がまとまらなかったら?
この遺産分割協議がうまくまとまらなかった場合には、「協議」に代わって、家庭裁判所において「調停」または「審判」によって遺産の分け方を決定することになります。
家庭裁判所における手続きでは、原則として「法定相続分」が考慮されるため、法律が定めた遺産の分け方の割合を基準として財産の分け方を決定していきます。
「法定相続分」はあくまでも相続人による話し合いで遺産分割がまとまらなかったときに家庭裁判所で適用する遺産の分け方の基準のようなものです。
したがって、話し合いがまとまるような円満な相続関係であれば、法定相続分に従わなくても生前の故人との関係や、故人の意向などに沿って、どのような割合でも遺産分割をすることができます。
例えば、相続人が配偶者と子の3人の場合であって、最も故人と近しく面倒などを見ていたということで3人のうち一人の子に全ての財産を取得させるような遺産分割協議を成立させることも可能です。
遺産分割協議で気をつけなければならないことは?
相続税の問題です。相続税は遺産を承継した人に対して課税をされますので、前記の例で全ての財産を一人の子が相続をした場合には、その子が相続した財産に応じた相続税を負担することになります。相続税の計算は、具体的には税理士を交えたシミュレーションにより行いますが、話し合いでまとまるような場合には、最も節税効果のある遺産分割方法をとることが望ましいと言えるでしょう。
なお、相続税が非課税となる相続、つまり遺産の総額が基礎控除である3000万円+相続人の数×600万円(令和4年現在)を超えない場合には、どのような内容で遺産分割をしても相続税負担はないため、特定の相続人に財産を取得させてもよいのですが、例えば、夫が亡くなって配偶者と子ども三人のケースで、遺産総額が基礎控除(この場合は5400万円)を超えない5000万円であったとして、全ての財産を配偶者に取得させる遺産分割をした場合、相続税はかかりませんが、このとき5000万円の遺産が配偶者の固有の財産に加算されることになります。
そして、次いでこの配偶者が亡くなった時には、基礎控除が4800万円ですので、単純計算で相続税が課されることになってしまうため、一次相続である夫の相続の時点で、二次相続となる可能性が高い配偶者の相続についてまで想定をした遺産分割をすることが望ましいと言えます。
この場合には、やはり司法書士の見解だけで判断することはできないので、税理士を交えたシミュレーションが必須となります。
当事務所では、連携している税理士さんに実際にシミュレーションをしてもらいながら遺産分割のアドバイスを行っておりますので、「どう分けたらいいかわからない」といった場合もどうぞお気軽にご相談ください。