くらしの法律情報
2021年09月02日 [くらしの法律情報]
障がいのある子の親亡き後に備えるには?
みなさま こんにちは! 司法書士の清水です。
当事務所は、これまで高齢の方を支援する機会が多かったのですが、ここ最近では20代〜50代の障がいのある方の成年後見人に就任することも増え、現在では10名の方を担当しております。また、支援者である区役所や相談支援事業所、親御さんから親亡きあとの問題についてご相談を寄せていただくことも増えています。
また、本年2月には平戸地域ケアプラザにて、障がいのあるお子さんをお持ちのお母さまを対象に「親亡き後の問題に備えて、今、何ができるか」についてお話をさせていただきました。遺言・成年後見制度の利用だけではなく、福祉や権利擁護のサービスで今から利用できること、親御さんご自身の想いを形にする「ライフデザインノート」やお子さんの障がい特性などの情報を支援者に引き継ぐための「あんしんノート」の重要性について、ご紹介しました。
その際に、お話をした内容の概略をまとめてみました。
ご参考にしていただけますと幸いです。
当所に寄せられる相談で多いものを挙げてみます。
(1)親が自宅で障がいのある子の面倒を看てきたが、親自身が高齢となり、ひきつづき面倒を看ていくのが困難になった。
(2)両親のどちらかが亡くなり、障がいがのある子が相続人となった(遺言書がないので遺産分割協議が必要)。
(3)現在、障がいのある子は施設に入所しているが、施設から金銭管理や契約等の関係で成年後見制度の利用を促された。
(4)障がいのある方に身近な親族がなく、親族で面倒を看てくれる人がいない。
(5)障がいのある子に兄弟はいるが、親亡き後の相続対策や障がいを持つ子の支援をどうしたらいいか悩んでいる。
(6)親が病気になり障がいのある子の面倒が見れなくなった。
(7)一人暮らしをしている障がいのある方が預貯金の管理が自分ではできないので、悪徳商法に騙されないか心配である。
(8)障がいのある方に浪費癖があり、先々の生活が心配である。
親亡き後の準備ができていないまま親子ともに年を重ね家族共倒れ寸前だったり、年齢にかかわらず親御さんが突然の病でお子さんの面倒がみられなくなったり(親御さんが急逝された場合もあります)など、不測の事態が起こって後見人にバトンタッチすることがあります。
その際に困ってしまうのは下記のような場合です。
(1)本人の成育歴やこれまでの歩み、将来の希望などに関する情報がない。
(2)親が子のために残したお金をどのようにつかってほしいのか、遺志がわからない。
(3)上げ膳据え膳、すべて、親が家のことをすべて担当していたため、本人が最低限の身の回りのことができない。
(4)親が顔色や本人の様子の変化をつぶさに感じとり、本人が訴えなくても対応してきたため、本人自身が不調に気づくにくい、周囲にうまく伝えられない。
(5)障がいがゆえに相手の要求に従順、詐欺被害にあっても気づかない。
(6)本人の金銭感覚が養われていない。
(7)本人にキーパーソンやサポーターがいない。
(8)これまで親以外との人間関係を構築してこなかったので、本人が新たな人間関係を築くのが難しい。
(9)親が本人が困る場面にあわないよう、先回りをして対応したり、代わりに問題解決をしてきたため、本人に困り感がない。
(1)現在、抱えている心配・不安要素の整理をしてみましょう。
(2)早めに相談をしましょう。
心配・不安要素は主に下記の3つに分類されます。
@「日常的な生活の見守りへの不安」
A「本人の生活に関して将来像が描けないことへの不安」
B「権利擁護(福祉サービスの契約、入院手続き、相続など)に対する不安」
それぞれの内容によって、相談先が異なりますし、親御さん自身で不安要素を明らかにすることは難しいと思います。
まずは福祉の相談窓口で相談すれば、内容によって適切な相談先につないでくれます。
一方、弁護士、司法書士等法律の専門家は財産や法律分野に関しては詳しいけれど(ただし専門外や得意不得意があります)、後見人としての活動実績がある人といない人がおり、福祉分野については明るくない方も多いです。
まずは、福祉相談窓口で話を聞いてもらい、相談内容を整理したうえで、福祉専門職から法律分野の専門家につないでもらう方がスムーズに進むことが多いです。
(3)お子さんの将来をイメージにし、希望を形に残しましょう。
将来、お子さんにどのような生活を送ってほしいか?希望を叶えるために誰にサポートをしてもらいたいのか?どのようなサービスを使ったほうがよいかなど親御さんが具体的なイメージを形にして残しておかないと、せっかくお子さんにお金を残しても使えないお金になってしまいます。ライフデザインノートやあんしんノートを活用し希望を形にして残しましょう。
「後見的支援センター」
※詳しくは「横浜市障害者後見的支援制度」のページ、パンフレットをご覧ください。
・横浜市が各区に1つ設置しているセンターです。
・18歳以上の方だったら、たとえ障害の診断がついていなかったり、障害者手帳がなくても利用できます。
・「将来がなんとなく不安」「何が不安なのかわからない」など、具体的な困りごとがわからなくても相談できます。
・相談員と定期的に会って(1か月に1回、2〜3か月に1回など希望に応じる)、お話をすることで、想いや考えを整理することができます。
・本人、親御さんから聞いた話の内容や想いを相談員が記録として残し、福祉の支援につながった場合はその記録を支援者につなぐことができます。(スムーズな支援が受けられるようになる)
・利用終了期限はないので、ずっとかかわり続けてもらえます。
・かかわっている中で困ったことがおきたら、解決してくれる支援機関につないでくれます。
・福祉や成年後見などの制度の情報について教えてもらえます。制度を利用するために必要な準備も手伝ってもらえます。
当事務所は、これまで高齢の方を支援する機会が多かったのですが、ここ最近では20代〜50代の障がいのある方の成年後見人に就任することも増え、現在では10名の方を担当しております。また、支援者である区役所や相談支援事業所、親御さんから親亡きあとの問題についてご相談を寄せていただくことも増えています。
また、本年2月には平戸地域ケアプラザにて、障がいのあるお子さんをお持ちのお母さまを対象に「親亡き後の問題に備えて、今、何ができるか」についてお話をさせていただきました。遺言・成年後見制度の利用だけではなく、福祉や権利擁護のサービスで今から利用できること、親御さんご自身の想いを形にする「ライフデザインノート」やお子さんの障がい特性などの情報を支援者に引き継ぐための「あんしんノート」の重要性について、ご紹介しました。
その際に、お話をした内容の概略をまとめてみました。
ご参考にしていただけますと幸いです。
障がいのある子の親御さんからの主なご相談は?
当所に寄せられる相談で多いものを挙げてみます。
(1)親が自宅で障がいのある子の面倒を看てきたが、親自身が高齢となり、ひきつづき面倒を看ていくのが困難になった。
(2)両親のどちらかが亡くなり、障がいがのある子が相続人となった(遺言書がないので遺産分割協議が必要)。
(3)現在、障がいのある子は施設に入所しているが、施設から金銭管理や契約等の関係で成年後見制度の利用を促された。
(4)障がいのある方に身近な親族がなく、親族で面倒を看てくれる人がいない。
(5)障がいのある子に兄弟はいるが、親亡き後の相続対策や障がいを持つ子の支援をどうしたらいいか悩んでいる。
(6)親が病気になり障がいのある子の面倒が見れなくなった。
(7)一人暮らしをしている障がいのある方が預貯金の管理が自分ではできないので、悪徳商法に騙されないか心配である。
(8)障がいのある方に浪費癖があり、先々の生活が心配である。
後見人として支援する際に大変なことは?
親亡き後の準備ができていないまま親子ともに年を重ね家族共倒れ寸前だったり、年齢にかかわらず親御さんが突然の病でお子さんの面倒がみられなくなったり(親御さんが急逝された場合もあります)など、不測の事態が起こって後見人にバトンタッチすることがあります。
その際に困ってしまうのは下記のような場合です。
(1)本人の成育歴やこれまでの歩み、将来の希望などに関する情報がない。
(2)親が子のために残したお金をどのようにつかってほしいのか、遺志がわからない。
(3)上げ膳据え膳、すべて、親が家のことをすべて担当していたため、本人が最低限の身の回りのことができない。
(4)親が顔色や本人の様子の変化をつぶさに感じとり、本人が訴えなくても対応してきたため、本人自身が不調に気づくにくい、周囲にうまく伝えられない。
(5)障がいがゆえに相手の要求に従順、詐欺被害にあっても気づかない。
(6)本人の金銭感覚が養われていない。
(7)本人にキーパーソンやサポーターがいない。
(8)これまで親以外との人間関係を構築してこなかったので、本人が新たな人間関係を築くのが難しい。
(9)親が本人が困る場面にあわないよう、先回りをして対応したり、代わりに問題解決をしてきたため、本人に困り感がない。
親御さんたちにお願いしたい準備は?
(1)現在、抱えている心配・不安要素の整理をしてみましょう。
(2)早めに相談をしましょう。
心配・不安要素は主に下記の3つに分類されます。
@「日常的な生活の見守りへの不安」
A「本人の生活に関して将来像が描けないことへの不安」
B「権利擁護(福祉サービスの契約、入院手続き、相続など)に対する不安」
それぞれの内容によって、相談先が異なりますし、親御さん自身で不安要素を明らかにすることは難しいと思います。
まずは福祉の相談窓口で相談すれば、内容によって適切な相談先につないでくれます。
一方、弁護士、司法書士等法律の専門家は財産や法律分野に関しては詳しいけれど(ただし専門外や得意不得意があります)、後見人としての活動実績がある人といない人がおり、福祉分野については明るくない方も多いです。
まずは、福祉相談窓口で話を聞いてもらい、相談内容を整理したうえで、福祉専門職から法律分野の専門家につないでもらう方がスムーズに進むことが多いです。
(3)お子さんの将来をイメージにし、希望を形に残しましょう。
将来、お子さんにどのような生活を送ってほしいか?希望を叶えるために誰にサポートをしてもらいたいのか?どのようなサービスを使ったほうがよいかなど親御さんが具体的なイメージを形にして残しておかないと、せっかくお子さんにお金を残しても使えないお金になってしまいます。ライフデザインノートやあんしんノートを活用し希望を形にして残しましょう。
参考:福祉の相談窓口は?
「後見的支援センター」
※詳しくは「横浜市障害者後見的支援制度」のページ、パンフレットをご覧ください。
・横浜市が各区に1つ設置しているセンターです。
・18歳以上の方だったら、たとえ障害の診断がついていなかったり、障害者手帳がなくても利用できます。
・「将来がなんとなく不安」「何が不安なのかわからない」など、具体的な困りごとがわからなくても相談できます。
・相談員と定期的に会って(1か月に1回、2〜3か月に1回など希望に応じる)、お話をすることで、想いや考えを整理することができます。
・本人、親御さんから聞いた話の内容や想いを相談員が記録として残し、福祉の支援につながった場合はその記録を支援者につなぐことができます。(スムーズな支援が受けられるようになる)
・利用終了期限はないので、ずっとかかわり続けてもらえます。
・かかわっている中で困ったことがおきたら、解決してくれる支援機関につないでくれます。
・福祉や成年後見などの制度の情報について教えてもらえます。制度を利用するために必要な準備も手伝ってもらえます。