くらしの法律情報
2023年02月01日 [くらしの法律情報]
住所変更登記も義務化されます!
本ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
前回のコラムでは相続登記の義務化について改めてふりかえり、ポイントを整理しました。
今回は、相続登記義務化と同様に、国の重点政策である所有者不明土地問題の解消に向けた不動産登記法改正のひとつである「住所変更登記の義務化」についてのポイントもお伝えいたします。
不動産に登記された住所氏名に変更が生じた場合、現在はこの変更登記をするかしないかは任意となっています。
そのため、住所変更登記のみを行うケースはほとんどなく、例えば住宅ローンの完済に伴い抵当権抹消登記をする際や、不動産を売却や贈与などで第三者へ所有権を移転させる際には登記上の住所を最新のものとしなければ登記申請ができないこととなっているため、そこで初めて住所変更登記をするというのが現在の慣例です。
したがって抵当権の抹消の必要がなく、また売却や贈与の対象とならない不動産について、所有者が住所を異動したとしても住所変更登記をするきっかけがなく長年放置されてしまっているケースも珍しくはありません。
住所変更登記されていない結果、相続登記がされずに古い名義人のままであるのと同様、登記簿上の所有者の住所が古く、住民票の記録(平成26年までの住民基本台帳法の取り扱いでは住所異動記録は5年で消除されていました。)でもつながりがとれないと、その登記された所有者が不明の状態ということになってしまいます。
これにより公共事業や復旧復興事業が円滑に進まなかったり、民間の取引を阻害したりする状況が生じていました。
そこで、相続登記義務化と同様に住所変更登記も義務化されることになりました。
令和8年(2026年)4月までに法律が施行されることになっています。
住所を変更した日から2年以内に住所変更登記をしなければならず、正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料が科されることになります。
住所変更登記の義務化が施行されるのとほぼ同じタイミングで、法務局の登記官が住基ネットの検索などにより職権で住所変更登記をすることができる制度も導入されることになっています。
ただし、個人情報保護の観点から、本人の了解が必要とされています。
本人が了解さえすれば、法務局側で職権で住所変更登記をしてくれるということなので、義務を履行しなくても法務局にお任せで登記がされる、というわれわれ司法書士としては、今までの制度を覆すような大転換であるように感じます。
国の施策ではあるのですが、ここまで抜本的な制度の見直しは珍しいと言えます。
われわれ司法書士も日々研鑽を積み、法制度が国民の利便性に資するように時代の潮流、国の施策を読みながら執務にあたらなければならないと感じています。
前回のコラムでは相続登記の義務化について改めてふりかえり、ポイントを整理しました。
今回は、相続登記義務化と同様に、国の重点政策である所有者不明土地問題の解消に向けた不動産登記法改正のひとつである「住所変更登記の義務化」についてのポイントもお伝えいたします。
これまでの住所変更登記の制度とは?
不動産に登記された住所氏名に変更が生じた場合、現在はこの変更登記をするかしないかは任意となっています。
そのため、住所変更登記のみを行うケースはほとんどなく、例えば住宅ローンの完済に伴い抵当権抹消登記をする際や、不動産を売却や贈与などで第三者へ所有権を移転させる際には登記上の住所を最新のものとしなければ登記申請ができないこととなっているため、そこで初めて住所変更登記をするというのが現在の慣例です。
したがって抵当権の抹消の必要がなく、また売却や贈与の対象とならない不動産について、所有者が住所を異動したとしても住所変更登記をするきっかけがなく長年放置されてしまっているケースも珍しくはありません。
住所変更登記されていないことの弊害は?
住所変更登記されていない結果、相続登記がされずに古い名義人のままであるのと同様、登記簿上の所有者の住所が古く、住民票の記録(平成26年までの住民基本台帳法の取り扱いでは住所異動記録は5年で消除されていました。)でもつながりがとれないと、その登記された所有者が不明の状態ということになってしまいます。
これにより公共事業や復旧復興事業が円滑に進まなかったり、民間の取引を阻害したりする状況が生じていました。
そこで、相続登記義務化と同様に住所変更登記も義務化されることになりました。
義務化はいつから
令和8年(2026年)4月までに法律が施行されることになっています。
罰則規定は?
住所を変更した日から2年以内に住所変更登記をしなければならず、正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料が科されることになります。
法務局の職権で住所変更登記をする制度が開始される!
住所変更登記の義務化が施行されるのとほぼ同じタイミングで、法務局の登記官が住基ネットの検索などにより職権で住所変更登記をすることができる制度も導入されることになっています。
ただし、個人情報保護の観点から、本人の了解が必要とされています。
本人が了解さえすれば、法務局側で職権で住所変更登記をしてくれるということなので、義務を履行しなくても法務局にお任せで登記がされる、というわれわれ司法書士としては、今までの制度を覆すような大転換であるように感じます。
国の施策ではあるのですが、ここまで抜本的な制度の見直しは珍しいと言えます。
われわれ司法書士も日々研鑽を積み、法制度が国民の利便性に資するように時代の潮流、国の施策を読みながら執務にあたらなければならないと感じています。