2021年02月26日
コロナ禍の施設訪問
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
われわれ司法書士は、相続や遺言、成年後見といった高齢者にまつわる業務を多く取り扱っています。
特に、成年後見業務ではご本人である成年被後見人が高齢者施設に入所している場合が多く、成年後見人として定期的に面会をするというのが一般的な職務の一つではあるのですが、このコロナ禍そして現在の緊急事態宣言下では、高齢者施設側でも極力外部の人との接触を避ける対応をとっており、当面のあいだ面会禁止となっているところも多々あります。
この場合は、施設の担当者に電話などでご本人の状況をうかがうなどで面会に代えることになります。
ところが、施設に入所している方が不動産売買の当事者、特に売主さんである場合には、後見業務のような定期的なご本人の状況確認とは異なり、決済日に先立って司法書士の職責として、直接ご本人にお会いして、本人確認と売却意思の確認を行わなければなりません。
そして、この度、判断能力には問題ない方で高齢者施設に入所中の方が、ご長男を手続きの代理人として住まなくなった自宅を売却するという事案を受託し、私が不動産売買の登記の担当をすることになりました。
事前に仲介業者とご長男の取り計らいにより高齢者施設も司法書士がご本人と面会をすることを了承してくれたため、2月中旬のとある朝、ご長男とともに高齢者施設を訪れました。
その施設での感染対策はかなり万全を期していました。
まず入口の手前で手指消毒と検温をし、入館者名簿へ住所・氏名・連絡先・体温の記入をします。その後、職員からは首から下を覆ういわゆる防護服を着るよう促され、さらにはフェイスシールドの着用が必須とのことでした。
これにはさすがにご長男も「ここまでするのは初めて」とのことですが、緊急事態宣言が解除されない限りにおいてはやむを得ないのでしょう。
そして、マスク着用したご本人と面会をし、無事にご本人確認、意思確認を行うことができました。退館時にも入館目的なども記載するカードを提出し、万が一施設内で感染が発生した場合にも施設訪問者の追跡が出来るような対応を取られており、施設の対策の万全性に感心させられました。
いわゆるリモートワークの浸透で普及したインターネットを利用した会議システムを活用すれば、定期的な施設入所者とのデジタルの面会がスムーズに行うことができるため、今後もっと広まってしていくことが望ましいと思いますが、今回私が関わった不動産のような重要な財産の取引で施設入所中のご本人の確認をする場合には、司法書士の職務として、デジタル方式での本人確認は万全を期すことが難しく、アナログ方式をしばらくは継続せざるを得ない現状があるとも感じたのでした。