2021年03月12日
住所変更登記も義務化へ
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
以前のブログで「相続登記の義務化」について触れましたが、今の国会ですでに法案が審議され、いよいよ本格的に相続登記が義務化されることになりました。
相続登記の義務化については、後日情報を整理してコメントをしたいと思います。
そして今回、相続登記の義務化とあわせて、住所(氏名)変更登記も義務化されることとなりました。具体的には住所や氏名を変更した場合2年以内に変更登記をしなければならない、ということになるようです。
これは、以前も述べましたが、現行法では相続登記や住所変更登記が任意の手続きとなっているため、登記簿に載っている名義人がすでに死亡していたり、住所氏名が変更していた場合でも登記申請をしないまま何年も経過してしまっている事例がたくさんあり、登記名義人の同一人性が確認できなくなってしまっている不動産が全国に多数存在してしまっている、いわゆる所有者不明土地問題、空き家問題の解消に向けた国家的な取り組みであるといえます。
また、住民票の保管期限が、令和元年の住民台帳法の改正により5年から150年に延長されました。改正されるまでは、住民票を異動した場合、異動前の古い住民票の記録はたった5年で破棄されてしまっていたのですが、これによって前住所が確認できずに不都合を感じていたのがわれわれ司法書士でした。
住所変更登記手続きにおいて、住所を何度も移していた方でしかも年数が経過してしまっていると、登記簿の住所と現在の住所の連続性を確認できる住民票をそろえることができなくなってしまっていて、登記申請に際しては本来は添付不要である権利証をお預かりして提出するなど、申請人である依頼人の方にも面倒をおかけすることとなってしまいます。
そのため、この保管期限の延長によって(しかし改正以後の住所記録ということにはなりますが)、住所の記録がほぼ永久に残ることは登記手続きにとって大きなメリットといえます。
そして、この度の住所変更登記の義務化があわせて施行されるようになると、少なくとも登記記録が数年間放置されることはなくなり、仮に登記がされなくても住民票から同一性をたどることができるので、新たな所有者不明土地や空家問題は生じなくなる、という意味で将来に向けた対策として万全を期した法務省の取り組みといえるでしょう。
ただ、問題は改正法が適用されない、すでに生じてしまっている所有者不明土地や空家の問題をどう解決するか、ということです。
これについても、不動産登記法などの改正によって抜本的な解決を図ろうとする法案が出てきていますので、こちらについても情報を整理して今後お知らせしていきたいと思います。