2021年04月07日
時効債権の請求にご注意を
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
ここ数年、当事務所に寄せられるご相談で件数が増加しているものとして、いわゆる時効債権の請求書が送られてきたという相談があります。
時効債権とは、例えば消費者金融などで借り入れをした方で、すでに最後の取引から5年以上経過している場合、法律上時効が完成しているため、消滅時効を主張すれば返済を免れる債権なのですが、債権者側があえて時効が完成している債権を請求してくることがあるのです。
これは、日本の時効制度が消滅時効を主張しない限り、時効の効果が発生しないという考え方をとっているためで、たとえ時効が完成した債権であっても、これを請求された場合に、請求に応じて支払いをしてしまったり、債権の存在を認めてしまうと、時効が中断(=リセット)されてしまい、いわば債権が復活してしまうようになっているのです。
ですので、過去に消費者金融などの業者との取引があり、返済が終わらないまま5年以上取引が中断していたにもかかわらず、その消費者金融やそこから債権譲渡を受けたという業者から支払いを求める通知書等が届いた場合、それに応じて支払いをしてしまったり、記載された連絡先に問い合わせて債権の存在を認めてしまうことのないように注意をしてください。
そして、さらに注意が必要なのが、すでに時効が完成している債権を業者が訴訟によって請求してくる場合です。
というのも、前述した通知書等のはがきや封書であれば、何も対応をしない、言い方を変えれば放っておいても大きな不利益はないのですが、もし裁判所から訴状が届いた場合は、訴訟手続きに則った対応をとる必要があるため、そのまま放っておいてしまうと債権を認めたことになり、さらには財産の差し押さえなどができる強力な債権となってしまうため、裁判所が定めた期日までに訴訟対応をしなければなりません。
いずれにしても、時効債権と思われる請求に対しては、速やかに対応して安心を得ていただくことが望ましいと思いますので、過去の債権の支払いを求めるはがきや封書、訴状を受け取られた場合は、お気軽に当事務所へご相談ください。