2019年03月13日
【皆さんの疑問に答えます!】成年後見01「成年後見制度ってなに?」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
今回は「成年後見」についてです。
成年後見制度ってなに?
認知症などで判断能力が低下した人がいる場合、その人をサポートするための適任者を家庭裁判所で選任してもらうこと。それが、「成年後見制度」です。
成年後見制度は、「法定後見制度」とも呼ばれていて、判断能力の程度により、「成年後見」・「保佐」・「補助」の3つに分類されます。
このほかには「任意後見制度」があります。
この二つの制度それぞれの特徴は大まかにいうと、次のようになります。
■法定後見制度
認知症などによって事理を弁識する能力が不十分になった場合に、親族等の関係者の申し立てにより家庭裁判所が本人の代わりとなる後見人(場合によっては保佐人または補助人。以下単に後見人等といいます。)を指定する制度です。
後見人等に誰を選ぶかについては、家庭裁判所が判断します。
申し立てた親族等の関係者自身が後見人等にそのまま選ばれる場合もあれば、いわゆる専門職後見人として司法書士や弁護士が選ばれる場合もあります。
なお、一度家庭裁判所に申し立てをすると、原則として取り下げることが出来ないため、この制度の利用は申立人において慎重な判断が必要となります。
■任意後見制度
契約によってあらかじめ「自分に後見人等が必要になったときには、この人に後見人になってもらい、自分のためにこんなサポートをしてもらう」という内容を定めておく制度です。法定後見制度との大きな違いは、家庭裁判所を介さずに「誰にどのようなサポートをしてもらうか」について具体的に自分の思いどおりに決めておくことができる点です。
あくまで当事者間での契約なので、本人が「やはりやめたい」、「内容を変更したい」と思ったときには、その通りにすることが出来ます。
両制度はどちらかを選んで利用するものではなく、自分の判断能力のあるうちに利用できるのが「任意後見制度」であり、判断能力を失ったり、不十分になってしまった場合に、親族等の関係者が本人のために利用するのが「法定後見制度」ということになります。
両制度ともに、後見人等が本人のために財産を管理したり、身上監護という本人のために各サポートを行うことが制度主旨であり、われわれ司法書士はどちらの制度でも関与することはできます。
「成年後見制度」では、親族等の関係者からの依頼により、申立書の作成をしたり、家庭裁判所に選ばれた後の後見人等としての活動といういわば本人のための事務代行型の制度であるのに対して、「任意後見制度」では、司法書士が任意後見人として本人のために活動することをあらかじめ本人と司法書士との契約より決める制度なので、より本人の思いを実現することができる本人主体型の制度と言えます。