2019年03月25日
【皆さんの疑問に答えます!】相続01 「相続前に準備しておくべきこと」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
今回は「相続」についてです。
相続前に準備しておくべきこと
ご自身が亡くなった後の相続をスムーズに行ってもらうための大事なポイントは、生前の対策をしっかりと行っておくことです。ご自身が元気なうちに、3つの相続対策(財産整理、相続人確定、遺産分割対策)をできるだけ早い段階で検討しましょう。
(1)財産整理
相続の対象となる財産は預金や不動産だけでなく、ローンや未払金などの債務も含まれます。こうした相続財産を把握・整理するために財産目録を作成してみてはいかがでしょうか。
●相続財産となるもの
・預貯金、有価証券(株式、国債、地方債、社債、手形)、貸付金などの金銭債権
・土地、建物、借地権などの不動産
・現金、貴金属、車、家具、書画骨董などの動産
・生命保険、退職金、遺族年金(但し、受取人が指定されていないものに限る)
・祭祀財産(位牌、仏壇、墳墓など)
●相続財産から控除するもの(債務)
・銀行や会社などからの借金や未払利息
・治療費、入院費などの医療費未払い分
・固定資産税、所得税、住民税の未納分
・相続人が立て替えた葬儀費用
(2)相続人確定
相続が発生した場合に、法律上「誰がどれくらい財産をもらうか」を確認しておくのがよいでしょう。
現行の民法が定める法定相続人は下記のとおりです。
@ 被相続人に配偶者と子がいる場合
・・・配偶者1/2、残り1/2を子の頭数で等分
A 被相続人に配偶者がいるが子はなく、被相続人の親がいる場合
・・・配偶者2/3、残り1/3を親(父母とも健在なら等分)
B 被相続人に配偶者がいるが子はなく、親も他界しきょうだいのみがいる場合
・・・配偶者3/4、残り1/4をきょうだいの頭数で等分
C 被相続人に配偶者がなく、子のみの場合
・・・子の頭数で等分
D 被相続人に配偶者、子ともになく、親のみの場合
・・・すべて親(父母とも健在なら等分)
E 被相続人に配偶者、子、親がなく、きょうだいのみの場合
・・・きょうだいの頭数で等分
F 被相続人に配偶者、子、親、きょうだいがない場合
・・・国庫に帰属
(3)遺産分割対策
遺言書を作成しましょう
自分が亡くなった後、醜い遺産争いが起こって家族がバラバラになることも少なくありません。生前に自分の意思を相続人に伝えるためにも、遺言書の作成をお勧めします。
遺言書の作成方法には、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。
@ 自筆証書遺言
よく知られている、自筆で書く遺言です。
自筆証書遺言として有効に成立するためには、
(1)全文、日付、氏名を自書すること
(2)押印をすること
が必要です。なお、保管は自身または親族にて行うことになるため、紛失してしまうリスクや、場合によっては改ざんされてしまうおそれがあります。さらに、遺言者が亡くなった後は、関係者の申し立てによって家庭裁判所で自筆証書遺言の検認を受ける必要があります。
作成費用はかかりません。
A 公正証書遺言
遺言書の作成を公証人が行い、遺言者は公正証書で作成された遺言書に署名押印をすることで完成するものです。自筆証書遺言と大きく異なる点は、原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんされるおそれがないことと、上記の検認手続きが不要であることですが、作成には証人2名の立会いと作成のための手数料が数万円かかります。
遺言でできることの例(法律上の規定があるもの)
・遺産分割の方法の指定
・相続分の指定
・遺言執行者の指定
・祭祀承継者の指定
・子の認知
・推定相続人の廃除
これらは、自筆証書遺言と公正証書遺言とで異なることはありません。
われわれ司法書士は、遺言作成のご相談を受けたり、作成のお手伝いをすることが出来ます。
なお、一般的には、公正証書遺言を作成することをお勧めしています。