2019年07月01日
【皆さんの疑問に答えます!】遺言03 「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
今回は「遺言 NO.3自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる 」についてです。
2019年1月13日から施行されている民法改正は相続法にも及んでいて、自筆証書遺言の方式が緩和されています。
従来、自筆遺言は気軽に書ける半面、「書き方の不備が原因で無効になった」「失くした」「偽造された」といったトラブルが起こりやすい問題点も指摘されていました。遺言書の記述が遺言書を見つけた人に有利な内容だった場合、「勝手に書き加えた」などと他の相続人から指摘され、もめる原因になるケースもあります。しかし、今回の改正でこうした不具合は少なくなりそうです。
そのなかでも大きな改正点となるのが、一部でパソコン作成が認められたことでしょう。これまで自筆遺言では全文を直筆で仕上げる必要がありましたが、そのうち、相続や遺贈をさせる財産に関しての記述部分を「別紙」という扱いで財産目録とする場合、これをパソコンで作成してよいことになりました。
また、相続財産となる銀行預金口座の通帳コピーや、登記事項証明書などの添付で同じく別紙の相続財産リストとすることも認められました。このスタイルなら、いくつもの金融機関の口座で預貯金や株式、複数の不動産などを所有している人にとっては作業負担がかなり軽減されそうです。
遺言書を何度も書き直す人にとっては、一度財産目録を作成しておきさえすれば、保有資産に変化が生じた場合もその部分だけ手直しすればよいことになります。
ただ、パソコンやコピーの添付でつくった財産目録の全ページに本人の署名と押印が必要になることを忘れてはいけません。これを怠ると、遺言書そのものが無効になる怖れがあります。用紙の両面にデータが印字されている場合は、紙の両面に署名と押印が必要です。