2019年09月26日
【皆さんの疑問に答えます!】遺言04 「読めない遺言書は、どうすればいいいの?」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
NO.3「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
今回は「遺言 NO.4 読めない遺言書は、どうすればいいいの?」についてです。
遺言書が判読できない状態としては、次の2パターンが考えられます。
●遺言書の破損や摩滅によって文字が薄れていて、物理的に読めない
●自署が乱筆で文字自体が読みにくい
こうした場合、それが遺言者の意思による破棄であれば、その破棄された部分については遺言が取り消されたことになります。汚れなどの原因によって判読不可能となっている場合は、その箇所は無効となります。
また、これが遺言者以外の相続人や受遺者によって意図的に破棄された場合は、その人は相続欠格とされて遺産を受け取る権利を失うことになります。また、この場合は破棄された箇所も遺言としての効力は失われずに有効とされます。
相続人が遺言書の文字を判読できないときや、遺言書が破棄されたときには「筆跡鑑定」が必要になる場合も考えられます。字が癖字で判読できない場合も、筆跡鑑定を受けるべきだと思われます。摩滅・汚損している文字については、科学的鑑定方法で判定することもあります。
癖字のために判読困難な場合であっても、草書体または慣用の崩しであれば必ず鑑定できます。まったく判読できない遺言は、遺言者の意思表示が完成していないものとして無効とするしかありません。筆跡鑑定については、事案を調停にもち込み、裁判所の鑑定をあおぐようにするとよいでしょう。ただ、実際のところは相続人の協議で結論を出して妥協するケースが多いようです。