2020年05月11日
こころに晴れ間を くらしに活力を 遺言 編 vol.2「遺言はいつ作成したほうがいいの?」
みなさま こんにちは! 司法書士の清水です。
当事務所は、2001年に事務所を開業してから20年に渡り、年間800件以上のくらしにまつわる様々な法律相談を受けてまいりました。このブログは、これまでの20年間の実際の経験にもとづき、みなさまのより良いくらしにお役立ていただくためのブログです。
高齢化社会の進展等による社会背景の変化により、昨年38年ぶりに民法の改正が行われました。遺言に関する大きな改正もあったので、昨年以降テレビ、新聞等メディアで頻繁に取り上げられるようになっており、当事務所でも作成に関するご相談がとても増えてきております。
当事務所にご相談をされる方は、生命にかかわる大きな怪我により入院をされた、また大病を患い医師から余命宣告をされた、若しくは何かしらの相続人間のトラブルへの不安があり、心配した妻や子からの働き掛けによるご相談で来られたといったように、どちらかといえば切羽詰まった状況であったり、身近な方から勧められ本人自身は作成する必要性をあまり感じていないにもかかわらず、お越しになられるような方も多いように思います。
こういった状況下で作成される遺言の傾向は、とにかく急いで作成することだけが優先されます。しかし、本来遺言を作成するということは、ご自身のこれまでの人生や残されたご家族のことなどを想い描きながら、少し時間をかけて準備すべきものです。ご家族のご事情はさまざまですが、そのような遺言の作成の仕方に少し戸惑ってしまうこともあります。
そこで今回、これまで数多くの遺言に関するご相談をお受けした経験から、みなさまにお勧めしたいタイミングは、次のライフステージに移るときや人生の大きな節目に遭遇したときです。
例)
・長く勤めていた会社を定年退職されたとき
・子供が結婚などにより家を出て夫婦だけの生活になったとき
・大きな怪我や病気で入院を余儀なくされたとき
・再発の可能性がある病気にかかったとき
・介護が必要になったとき
ご家族で話し合う延長で、万が一があったときのことも同時に話し合い、作成するという流れが最もスムーズであると思います。
このように、予めご家族と一緒に万が一の際の話し合いをしたり、気持ちや想いを共有できていると、もしもの時にも慌てることなく、その後の相続によるトラブルの回避にもつながります。
なお、ご相談される方の中には、遺言を一度作成すると、その後に預金等を減らしてはいけないのでしょうか?今後は財産を処分することができないのでしょうか?といったご質問を受けることがありますが、遺言を作成したからといって、その後の預貯金等の利用が制限されるわけではありませんし、また作成後に状況が変化した場合は、何度でも作成しなおすこともできます。
遺言はライフステージの変化や人生の大きな節目に遭遇し、作成を思い立ったときが最適な作成時期であり、怪我や病気、災害等の予期せぬ事態へ備えとしてもとても役立ちます。
遺言をいつ作成したらよいのか?と悩まれている方は、ぜひご参考になさってください。