2017年08月10日
成年後見の仕事を通じて思うこと
皆さま
こんにちは。司法書士の清水です。
当所では認知症や精神障害などで判断能力が不十分になってしまった方の支援を行う成年後見制度のご相談を数多くお受けいたしております。
成年後見人は裁判所から選任され、判断能力が低下した本人に代り財産管理や契約などの法律行為を行うのですが、私はあらゆる場面でご本人の気持ちや考えに寄り添いながら意思決定を行うことを大切にしています。
最近では独身の方や結婚されていてもお子さんがおらず夫婦ふたりの方の支援をする機会が多いのですが、最も悩むのは福祉施設を選ぶことです。
裁判所から選任された時点で、病院や老人保健施設にいらっしゃる場合は次の行き先を探さなければいけませんが、心身の状況から住み慣れた家に戻ることが難しく、終の棲家として福祉施設を見つける必要があります。
その方の心身の状況や経済状況のほか、性格、これまでどのような生活を送られてきたかなどの生活歴を総合的にふまえた上でご本人が快適に過ごせる施設を選ぶことが大切です。
判断能力が低下されている場合、なかなかご本人とのお話しの中からいろいろな情報を収集するのが難しいため、本人を支援されてきたケアマネジャーやヘルパーなど福祉関係者の方からのお話が大変参考になります。
またご自宅で倒れてそのまま入院して今に至っている方が多いので、ご自宅の状況確認および食料品など残置物の処分でご自宅に入らせてもらうこともご本人のことを知るうえで貴重な機会になっています。
先日も福祉施設を探さなければいけない方のご自宅に伺う機会がありましたが、旅行先で購入したと思われる民芸品、お手製の手芸の作品、几帳面に書き残されていた料理のレシピなどを拝見し、その方が日々どのようなことを大切に生活をされてきたかに想いを馳せることができました。
司法書士として法律的な専門知識の研鑽を積むだけではなく、自身の五感を高め人間力を向上させることの必要性を後見の仕事を通して感じているところです。
ご本人に成り代わることはできないし、ご本人にとって最善の選択・決定ができているのか悩むことの多い日々ですが、日ごろからお世話になっている福祉関係者の方のお力をお借りしながらご本人に寄り添えるような支援を目指していきたいと考えています。