2020年06月19日
【皆さんの疑問に答えます!】遺言10 「7月10日開始:法務局による遺言書保管制度について」
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
お客さまからご質問をいただくことの多い相続、遺言、成年後見など法律に関する話題ついて、本ブログでわかりやすく解説していきます。
新聞やテレビで聞いたことはあるけど意味はよくわからない、内容がわかりにくいことが多いと思いますので、法律に親しんでいただける入門書としてご活用いただければ嬉しいです。
<過去の掲載記事: あわせてご参考になさってくださいね>
▷ NO.1 「遺言の有無を確認する方法は?」
▷ NO.2「遺言書は簡単に開封していいの?」」
▷NO.3「自筆証書遺言の一部はパソコンでも作成できる」
▷NO.4「読めない遺言書は、どうすればいいいの?」
▷NO.5「複数の遺言書が出てきた」
▷NO.6「遺言に従わなければならないの?」
▷NO.7「財産目録に書かれた土地が存在しない」
NO.8「遺言の内容が不公平で納得ができない(1)」
NO.9「遺言の内容が不公平で納得ができない(2)」
今回は「法務局による遺言書保管制度について」について詳しく、ご説明します。
来月7月10日より、新たな遺言の制度がスタートします。
法務局による遺言書保管制度です。
遺言書は、大きく分けると、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがよく利用されています。
自筆証書遺言は、自筆で全文を書き、日付と署名押印で完成するのでもっとも簡便に作成でき、費用もかかりませんが、紛失や破損などのリスクがあり、また内容に不備があるとせっかくの遺言内容が実現できないことになってしまったり、家庭裁判所の検認手続きを要するといった遺された相続人にとって負担となる点がデメリットとして指摘されています。
いっぽう公正証書遺言は、公証人が関与するため内容の不備が生じることはまずありませんし、原本が公証役場に保管されるため紛失のおそれはなく、家庭裁判所の検認手続きも不要ですが、作成にあたっては利害関係のない証人2名の立会いが必要となり作成にかかる費用も数万円になるという点が自筆証書遺言に比べて負担とされています。
そこで、両制度の中間にあたる位置付けで法務局による遺言書保管制度がスタートすることになりました。
この制度は、自筆証書に準じた方法で遺言書作成し、これを法務局に保管申請するというもので、手数料も数千円程度、法務局でデジタル化して保管するので紛失のリスクもありませんし、家庭裁判所の検認も不要なので、自筆証書遺言と公正証書遺言の良いとこどりの制度を謳っています。
詳しい制度概要は法務省のホームページに案内されています。
ただし、遺言書保管制度の問題点をあえて指摘すると、これも自筆証書遺言と同様、内容が法的に有効であるかについては、法務局は判断しないことになっているので、せっかく新しい制度を利用し遺言書を遺しても、遺された相続人のためにならないものになってしまう可能性は否定できません。
内容に不備のない遺言書を遺すことが何よりも大切です。
当事務所では公正証書遺言を中心にこれまで多くの方々の遺言書作成のお手伝いをしております。
この新しい法務局による遺言書保管制度もふくめて、遺言書作成のご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。