2020年10月22日
ハンコはどうなる?
本ページをご覧のみなさま
司法書士の福井です。
昨今話題となっているハンコの廃止議論ですが、政府が打ち出している方針は、デジタル化できるところは積極的に進めましょう、ということだと思います。
ですから、デジタル化推進=ハンコ廃止というのはやや極端な考えだと感じる今日この頃です。
われわれ司法書士の仕事の大部分を占めるのが書類作成業務です。そして作成した書類にお客様からハンコをいただくことが仕事の完遂するまでの一つの目的となっています。
以前にもご紹介したとおり、司法書士の登記申請はオンライン化が進んでおり、われわれ司法書士は押印の代わりに電子署名を用いることになり、司法書士として押印をする機会は確かに減りました。
それでも、法律上、司法書士への委任状やその他事実関係を証明するための書類には当事者の押印が必要となっていて、これが省略できるようにするためには、国民全員が電子署名をすることができる環境整備が必要となります。
確かに、定額給付金をきっかけにマイナンバーカードを持つ人が増え電子署名をすることができる環境になりつつありますが、実際、実務に携わる司法書士の感覚としては、個人のお客様が押印の代わりに電子署名を利用するという行為が想像しにくいというのが正直なところです。
それは、日本の押印文化によって、自分で判をついたことが意思表示の証であると感じる習慣が根付いてしまっているという現実があるからだと思います。
もちろん、行政手続きなどを簡略化するためのデジタル化の中にハンコを押す機会をなくしていこうというのは大賛成です。
あくまで個人の意思表示の手段としてのハンコを押すという文化はそう簡単に日本から消えていくものではないでしょうし、ハンコというモノ自体が、中国や韓国などを除いて諸外国にはない伝統文化であるということを今一度見直す良い機会ではないかと思います。
とりとめもない内容となってしまいましたが、伝統文化や古くからの習慣がデジタル化の対極にある悪である、という風潮に少し抵抗を感じていましたので、こちらで発信させていただきました。