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くらしの法律情報
2022年10月11日 [くらしの法律情報]

失敗しない贈与のポイントは?

贈与
本ページをご覧のみなさま、司法書士の福井です。
当所では相続のご相談を多数承っていますが、相続が亡くなられた方の財産の移転であるのに対して、生前に財産を移転する典型的な法律行為がいわゆる贈与ということになります。この贈与に関するお問い合わせも相続に次いでよくお寄せいただいております。



このようなご質問をいただくことがあります。
多くは、自宅の不動産を自分の子供に生前贈与をするのと、相続で継がせるのとどちらがよいのか、といったものです。
これに対する答えは、何を重視するかにより結論が異なります。

上記の不動産の例で贈与と相続それぞれのメリットデメリットで比較してみましょう。
生前贈与は、贈与する方と贈与を受ける方の意思の合致という法律行為ですので、自分の意志で子供に不動産を渡したという実感を得ることができ、贈与を受けた子供からも感謝の意が伝えられることもあるでしょう。
相続の場合、もし、遺言書を遺さなかった場合には、相続人が子供一人である場合を除いて相続人の間で遺産分割協議を行うこととなり、不動産所有者の意思が反映されない結果となる可能性もあるため、生前に意思を残したいと考えている場合には、遺言書を作成する必要があります。



不動産の贈与で発生する主な税金が、「贈与税」「不動産取得税」「登録免許税」です。

「贈与税」
1年間に110万円までは非課税で贈与を受けることができますが、不動産の場合ほとんど110万円を超えることになるため、まずは「贈与税」を念頭に置く必要があります。贈与税の税率は非常に高く一般税率で3000万円以上の贈与では税率が55パーセントにもなります。

「不動産取得税」
基本税率は固定資産評価額に対して4パーセントと高額となる可能性もありますが、「住宅」の場合は特例の適用により軽減される場合があるようです(詳しくは県税事務所にてご確認ください)。

「登録免許税」
不動産登記の際、法務局に収める印紙代ということになりますが、固定資産評価額に対して2パーセントの税率となっています。

※不動産の相続では「贈与税」に代わって「相続税」を検討することになりますが、亡くなった方の不動産を含む総財産が基礎控除(3000万円+相続人の数×600万円)を超えない場合には相続税は発生しません。
また、原則として相続では「不動産取得税」は発生しません。
「登録免許税」は固定資産評価額に対して0.4パーセントとなっており、贈与の5分の1となっています。
税金面で考えると、圧倒的に生前贈与よりも相続のほうが節税できるということになります。

ただ、生前贈与でも「配偶者控除」の適用により一定の要件で2000万円までは贈与税が非課税となる制度や、「相続時精算課税制度」の適用により親から子又は孫への贈与については2500万円まで贈与税が非課税になる制度もあり、国の政策としては、生前贈与で不動産の承継を促進しようとしている側面もあると考えられます。

生前贈与と相続の選択はこれらのメリットデメリットをよく検討していただく必要がありますが、当事務所でもできる限り丁寧かつ詳細にご説明を差し上げて、納得して結論を出していただけるよう心掛けております。
贈与に関するご相談もどうぞお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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